【リノベ・アイディア】Step2 プランニング編|空間デザインのプロがリノベ成功のノウハウを伝授

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2022/04/01 : リノベ・アイディア

Step 2プランニング
施工上はずせない、インダストリアル・ブルックリンスタイル的視点とは

インダストリアル・ブルックリンスタイルを大人かっこよく仕上げるコツをまとめました。施工上の注意点も必見です。施工会社と内装デザインを決める際に、参考にしてみてください。
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【レンガ壁】これぞブルックリン!カジュアルさと重厚感を両立させるレンガ壁

ブルックリンスタイルで一番に浮かぶのが、古さを感じさせるレンガ壁。不均質なアンティークのレンガを使います。実際に建造物で使われていたレンガを板状に切断加工した「スライスレンガ」、アンティークレンガやゴツゴツした石の風合いをリアルに再現した「セメント系ブリックタイル」がおすすめです。レンガより軽く、壁にかかる荷重が少ないこと、施工性がよいメリットがあります。施工においては、凸凹を出しながらラフに仕上げるのがコツです。欠けたり、割れていてもOK。均質で真新しいレンガを行儀よく整列させると、重厚感だけの別物になってしまいます。通常、職人さんは、きれいに整えることを前提に施工します。ラフに崩す感覚を理解し、再現してくれる職人さんに出会えるかがカギです。かっこいいと思える感性を共有しておきましょう。

まだらな色、不揃いな形、凹凸のあるザラッとしたテクスチャー。ひとつずつ表情の違うレンガを、夜スポットライトで照らすと、昼間の表情が一転、凹凸が際立ち、幻想的なゆらぎを放ちます。ただぼんやりと壁面を見つめるだけで心が満ちていく贅沢。今日一日をゆっくり振り返り、気持ちを穏やかに整える。壁紙はもちろんのこと、単色均質な普通のレンガ張りでも生み出せないこの空気、この時間。夜が楽しみになる壁です。自宅が赤レンガ倉庫のレストランバーに。普段のごはん、お酒がよりおいしく感じられ、団らんの時間も弾みます。リモートワークでZoomを使うときは、ぜひレンガ壁の前に座ってみてください。本物素材が放つおしゃれな空間で、Zoom映えを実感するはずです。画面越しの相手からも一目置かれる存在に。

【モルタル・コンクリート】無機質な空間づくりにハズせない、モルタルとコンクリート

■床■
硬質なコンクリート仕上げの土間は、おしゃれな家を印象付ける決定打になります。生活感のないかっこよさは、裏を返せば、暮らしにくそう…と敬遠される減点ポイントに。おしゃれすぎて落ち着かない、寝転べない、冷たい、転んだら痛そう等、実用面で二の足を踏む人が多いのではないでしょうか。転倒しやすい子ども、高齢者のいる家庭は避けるのが賢明です。ラグは、縁でつまづいて転ぶこともあります。安全面を最優先してください。
帰宅してすぐ玄関で靴下を脱ぐタイプの人には、魅力のある床です。清潔、硬質、滑らか、ひんやり。足がペタペタ張り付く大理石やタイルとはまた違う、キュッキュッと小気味のよい独特の足触りはクセになります。早く家に帰って裸足になりたい!と家路を急ぐようになるかもしれませんね。
裸足族にはたまらないコンクリート土間。ですが、靴下族の方は滑って転倒する恐れがあります。室内履きは必須です。冬場の冷えにも配慮が必要です。
清掃性について。コンクリート土間には防塵塗料をかけて仕上げます。塗膜が素地の風化を防ぎ、埃や汚れをつきにくくするため、掃除機、モップがかけやすく、雑巾がけも問題ありません。汚れ落としには中性、弱アルカリ性洗剤が使えます。ただし、汚れを長時間放置すると奥まで染み込んで取れなくなる恐れがあります。水気が飛びやすいキッチンや洗面所には、マットの使用を推奨します。

■壁■
色ムラ、コテ跡で躍動感を出したモルタルの塗り壁は、絵画のようなたたずまい。それ自体美しく、じっと見入ってしまう吸引力があります。さらには、そこに暮らす人、家具、雑貨の輪郭を際立たせ、かっこよく映えさせる背景となってくれます。壁は床と違って、身体が直に触れることがほぼないため、冷たさ、硬さ、汚れ等の実用面での考慮が不要となります。迷ったときは、壁で取り入れることをおすすめします。
施工上注意すること。レンガ壁同様、左官職人もコテ跡を残さずピシッと均質に整えることを前提に仕事をします。施工時は、本来なら消すところの色ムラ、コテ跡を、敢えて積極的につけて、ラフに仕上げてもらいましょう。その不均質なゆらぎ、陰影が、暮らす人をおしゃれに仕立てます。壁紙や色画用紙のように、のっぺりと仕上げないのがコツです。

■床・壁共通■
下地が乾燥すると収縮し、クラック(ひび割れ)が起こります。インダストリアル・ブルックリンスタイル仕上げの施工では、エイジング塗装で意図的にクラックを描いてヴィンテージを演出します。わざと汚す、整えないかっこよさが存在するなか、この自然発生したクラックを、無骨で良いと思える感性があれば、経年変化を楽しんで暮らしていけるでしょう。ただし内部腐食に繋がる深刻なクラックは補修します。様々な補修材が市販されており、DIYでも修繕可能です。

【露出配管】見えるところはすべて抜かりなく。ピカピカを排した露出配管スイッチ

本来は壁・天井裏に収める電気・空調設備・給排水の配管は、わざと露出させ、工場や倉庫のように仕上げます。粗削りで堅牢な印象を与える金属管を使います。スイッチプレート、コンセントプレートはメタリック素材のアメリカンタイプが馴染みます。従来の白いプラスチックカバーとは気分がまるで違います。つまみタイプのトグルスイッチは、ON/OFF時のカチッと心地よい感触で、気分のスイッチも上げてくれます。

そのままでもかっこいいデザインですが、その上からエイジング塗装を施し、新品キラキラのメタリックな輝きを封じ込めるのがポイントです。インダストリアル・ブルックリンスタイルは、長く工場や倉庫として使われていた空間の元の味わいを残し、古いものを活かして楽しむスタンス。鈍い光を放つサビで、ヴィンテージ空間に変換していきましょう。

人が古いものに惹かれてしまうのは、理屈を抜きに、落ち着きや懐かしさを求める本能的なものかもしれません。新品時は画一的だった製品も、経年変化で個々に違った美しさが宿っていくことから、エイジング加工は「個性を吹き込む作業」ととらえることができます。

【タイル】すっきりと潔いたたずまい!ニューヨーク発のサブウェイタイル

かっこいいけど住みにくい。それでは必ず後悔する日が来ます。汚れや水濡れが気になる場所は、実用性を優先して、掃除がしやすい建材を取り入れるべきです。しかしデザインで妥協する必要はありません。適材適所のパーツを選べば、おしゃれと快適が共存する暮らしが叶います

常に清潔を保っておきたい水回りには、さっと簡単に拭き取れるタイルが最適です。無地長方形のシンプルな色デザインのサブウェイタイルは、インダストリアル・ブルックリンスタイルはもとより、海外カフェスタイル、北欧テイストとも親和性が高く、店舗や住宅で広く使われています。名前のとおりニューヨークの地下鉄の駅で使われているタイルで、アメリカのサブウェイセラミックス社が1903年ニューヨーク地下鉄開業当時のタイルをリプロダクトし、現在も機械生産に頼らず職人の手作業で生産しています。日本のタイルメーカーでも似たタイプが販売され、色、質感、かたち様々に展開されています。

壁は面(または一部)で素材を変えると、くだけた雰囲気に仕上がります。適宜タイルを組み合わせ、異素材ミックスの妙を味わう。これぞインダストリアル・ブルックリンスタイルの真髄です。

【照明1】多彩な明かりを楽しむために。後々役に立つダクトレール

多灯使いは、空間にメリハリと奥行きを生みます。天井のシーリングライト一つで全てを照らすのではなく、適材適所に光を分散させましょう。日常の光景がドラマチックな舞台に変わります。こだわって選び抜いた内装そのどれもが主役級の力を宿しています。主役の面々にはスポットライトを当てて、引き立たせて。工事の段階でしておくべきは、ダクトレール(ライティングレール)の仕込みです。

ダクトレールとは、複数の照明を好きな位置で取り付けられるバー状の器具です。シーリングライト(天井直付け)、ダウンライト(天井埋め込み)、ブラケットライト(壁面直付け)など、基本的に明かりの位置は一度取り付けると変更できませんが、ダクトレールを先に取り付けておけば、模様替えで明かりが必要な場所が変わった、ディスプレイを目立たせたい、テーブルにもう少し明るさが欲しいなど、後から出てくる要望にも融通が利きます。スポットライト、ペンダントライト、ソケットライトだけでなく、レールに吊りフックを取り付ければ、植物などディスプレイの幅が広がります。プロジェクターの天吊りも簡単です。

明かりの配し方次第で、さらに気分までコントロールできます。集中したい、疲れをほぐしたい、気分を上げたい、など、その時々の状況に応じて点灯パターンを変える。心のスイッチは容易くオンオフできるものではありませんが、このように電気のスイッチと連動できれば、日々の暮らしを自ら能動的に操っていけるのです。

【外観】金属の硬質感で外観と内装をつなぐ、ガルバリウム鋼板の外壁・屋根

渾身のリノベーション。たくさんの人に見てもらいたい、遊びに来てほしいですよね。招かれた立場で我が家を俯瞰してみましょう。
一見よくある普通の外観。中に入って…びっくり! これまで外観と内装のギャップに戸惑ったこと、ありませんでしたか?中だけ整え、外はそのまま。それではせっかくのリノベーションも、ギャップだけが相手の印象に残ってしまいます。

ガルバリウム鋼板は、インダストリアルスタイルに好適な外壁、屋根材です。金属がもたらすシャープな硬質感により、外観と内装が一体化した建物に仕上がります。既存の外壁、屋根に重ね張りするカバー工法が可能なため、リフォームでもソリッドな印象に一新できます。高強度、軽量で地震に強い、耐用年数が長いなど魅力の多い建材です。内装にも取り入れると、倉庫の雰囲気が出てユニークな空間になります。

デメリットは、金属の特性上、熱と冷気を伝えやすいことです。断熱材と遮熱塗装を付加した商品を選んでください。他にも、傷が入るとサビが回り、劣化が進みやすい点が挙げられます。自転車や遊び道具など、当たって傷がつくような物を建物の周りに極力置かないこと、10~15年ごとの定期的な塗り替えでデメリットを補うことができます。

以上、デザインや施工上の要点をまとめました。
どの建材を選んでもメリット・デメリットはそれぞれに必ずあります。一番優先したいことは何なのか。そこを絞り込むと、比較検討の時間が短縮できますよ。
Step3「家具小物パーツ選び」に続きます→続きを読む

 

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